事件について簡単にまとめます。
事件の概要
金子氏は、Freenetなど匿名でファイルをやり取りできるソフトではこれまで難しいとされていた効率性を飛躍的に向上させたソフト(Winny:ウィニー)を実験的に開発しました。このソフトはインターネット上でP2P型と呼ばれるネットワークを形成し、特定の管理者不在のまま匿名でファイルのやり取りを効率よく行います。あくまで研究用であり、使い方なども専門家しか分からないようなものであったのですが、性能のよさから、使い方を説明するウェブサイトや書籍があらわれ、瞬く間に利用者が広がっていきました。
違法ファイルの問題については、早い段階から違法ファイル禁止の呼びかけや、説明書での注意書きがありました。しかし、一部のユーザーがWinnyの機能を悪用し、また一部の書籍が悪用を推奨・助長し、ネットワーク上で違法なソフトウエアや映画や音楽などのデータをやりとりする事例がみられるようになりました。この状況を問題視した著作権管理団体などが、徹底的に違法ユーザーの調査を行ってきました。そして昨年末、違法にファイルをやり取りしたとして、2人のユーザーが京都府警に逮捕(著作権法違反容疑)されました。
その2人の逮捕から半年後の5月10日、「Winnyを開発したことにより見ず知らずの2人の違法行為を手助けした」として金子氏が京都府警に逮捕(著作権法違反幇助容疑)されました。 この京都府警による金子氏の逮捕は、恣意的な判断以外に客観的逮捕理由がありません。 この不当逮捕については、別のページで主張いたします。
開発開始から現在まで
2002年
- 4月1日:金子氏が「47」という名前で匿名掲示板「2ちゃんねる」に開発を宣言
- 5月~:Winnyの試験運用が始まる
- 12月30日:Winny正式版リリース
2003年
- 8月8日:Winnyネットワークを介して感染するウイルスが登場。
- 11月28日:Winnyで違法行為を行ったとしてユーザー2人が逮捕。同時に金子氏も家宅捜索を受ける。
2004年
- 3月29日:Winnyのウィルスに感染した京都府警のパソコンから個人情報や捜査情報が流出する。
- 3月~4月:Winnyを通じて北海道警、郵便局、陸自などから次々と内部情報が流出。
逮捕
- 5月10日
- 京都府警が金子氏を任意同行後逮捕。自宅などからパソコンや雑誌などを押収 (Winny開発者を逮捕(京都新聞))
- Winnyの関連サイトの管理者も家宅捜索を受ける (Winny関連Web管理者家宅捜索(YahooNews))
- 5月11日:京都府警が東大大学院の研究室を家宅捜索
- 5月12日
- 京都地裁で勾留が決定
- 壇俊光弁護士を事務局長とする弁護団結成
- 5月14日
- 弁護団、京都で記者会見。「逮捕は不当」と声明発表 (弁護団記者会見(YahooNews))
- 勾留理由開示請求、勾留に対する準抗告の申し立て
- 5月15日:勾留決定に対する準抗告が棄却